土地造成前の伐採・抜根の進め方|費用・手続き・廃棄物処理までワンストップで解説

宅地造成や太陽光発電用地の整備、工場建設など、土地を開発する前の段階で欠かせないのが「伐採」と「抜根」です。

樹木が残ったままでは重機を入れられませんし、地中に根が張った状態では地盤の支持力も安定しません。つまり、造成工事を始めるためには、まず土地をまっさらにする必要があります。

ただ、この伐採・抜根という工程は、単に木を切り倒せば終わりというものではありません。森林法に基づく届出発生する大量の枝条・根株の処理抜根後の残土処理など、意外と見落としやすいポイントが複数あります。

この記事では、土地造成前に行う伐採・抜根について、事業者・土地所有者の方に向けて、流れ・費用・法的手続き・廃棄物処理までを整理して解説します。


目次

土地造成前に伐採が必要になるケース

伐採・抜根が必要になる典型的な場面は、大きく以下のようなケースです。

宅地造成 相続した山林や雑木が残る土地を住宅用地として活用するケース。複数区画の分譲地を作る場合もここに含まれます。

太陽光発電用地(野立てソーラー)の整備 山林や遊休地を太陽光パネルの設置場所として転用する際、パネルの影を作らないためにも樹木を完全に除去する必要があります。

工場・倉庫・物流施設の建設 郊外の土地に大型施設を建てる場合、広範囲の伐採・抜根が必要になります。

駐車場・資材置場の整備 既存の樹木を残したまま舗装することはできないため、伐採に加えて抜根を行い、地盤を整える必要があります。

相続地の整理・売却準備 樹木が生い茂ったままの山林や空き地は売却時に不利になりがちです。伐採・抜根して整地することで、土地の価値を上げやすくなります。

いずれのケースも、伐採単独ではなく「造成工事」の一環として位置づけられる点が特徴です。


伐採と抜根の違い

「伐採」と「抜根」は似ているようで、作業内容も目的も異なります。造成工事では両方が必要になるケースがほとんどなので、違いを理解しておくことが重要です。

伐採(ばっさい) 地上に出ている幹・枝を切り倒す作業です。地中の根は残ったままになります。

抜根(ばっこん) 伐採した後に残る切り株と根を、地中から掘り起こして撤去する作業です。

土地を再利用しないのであれば伐採だけで済むケースもありますが、造成工事では必ず抜根まで行う必要があります。理由はシンプルで、根が地中に残っていると地盤が不均一になり、建物の基礎や舗装の品質に影響するからです。

また、根を残すとシロアリやスズメバチの温床になったり、時間の経過で腐食して地盤沈下を引き起こしたりするリスクもあります。


造成前の伐採・抜根の流れ

一般的な進め方は、おおむね以下のステップになります。

1. 事前調査・法的手続きの確認 対象地が森林法上の「地域森林計画対象森林」に該当するかを確認します。該当する場合は伐採届の提出が必要です(詳細は後述)。保安林に指定されている場合はさらに厳しい許可が必要になります。

2. 現地調査・見積 樹木の種類・本数・高さ・太さ、搬出路の有無、重機の搬入可否、周辺環境(住宅・電線の有無など)を確認し、作業計画を立てます。

3. 届出の提出 必要な届出・許可申請を行います。伐採届の場合、伐採開始日の90日前から30日前までに提出する必要があるため、スケジュールの早い段階から準備することが重要です。

4. 伐採作業 チェーンソーや高所作業車、重機を使って樹木を切り倒します。周辺への影響を抑えるため、倒す方向を慎重にコントロールする技術が必要です。

5. 抜根作業 バックホウ(ユンボ)などの重機を使って切り株と根を掘り起こします。深く根が張っている場合や岩盤に食い込んでいる場合は、人力での補助作業も併用します。

6. 廃棄物の搬出・処理 伐採で発生した幹・枝・根を搬出し、適切に処理します。ここが造成工事全体のコストとスケジュールに大きく影響するポイントです。

7. 整地・跡地対応 抜根後の穴を埋め戻し、整地します。ここから本格的な造成工事(切土・盛土・地盤改良など)に入っていきます。


必要な届出と法的手続き

土地造成前の伐採で特に注意すべき法令・手続きを整理します。

森林法に基づく「伐採及び伐採後の造林の届出」

地域森林計画の対象となっている民有林で立木を伐採する場合、森林法第10条の8に基づき、市町村長への届出が義務付けられています。

  • 提出時期: 伐採開始日の90日前から30日前までの間
  • 提出先: 伐採する森林が所在する市町村
  • 必要書類: 伐採及び伐採後の造林の届出書、伐採計画書、造林計画書、位置図、土地の登記事項証明書など

造成目的で伐採する場合は、伐採後に森林以外の用途へ転用することになるため、その旨も届出書に記載する必要があります。

参考:伐採及び伐採後の造林の届出等の制度(林野庁)

無届で伐採した場合は、市町村長から伐採の中止や造林の命令を受ける可能性があり、森林法第208条により100万円以下の罰金の対象にもなります。

参考:e-Gov法令検索:森林法

保安林の場合は都道府県の許可が必要

対象地が保安林に指定されている場合、伐採届ではなく都道府県知事の許可が必要になります。保安林は水源涵養や土砂流出防止といった公益目的で指定されているため、伐採のハードルは高く、造成目的での伐採は認められないケースも少なくありません。

事前に所在地の都道府県の林務担当窓口で確認しておく必要があります。

森林の開発許可(森林法第10条の2)

民有林のうち地域森林計画対象森林で、1ヘクタールを超える開発行為を行う場合は、都道府県知事の「林地開発許可」が必要です。太陽光発電所の整備なども含まれます。

参考:林地開発許可制度(林野庁)

都市計画法の開発許可

市街化区域・市街化調整区域などにおいて一定規模以上の開発行為を行う場合、都市計画法に基づく開発許可が別途必要です。

盛土規制法(2023年施行)

2021年の熱海市の盛土崩落事故を受けて整備された「宅地造成及び特定盛土等規制法」により、一定規模以上の盛土・切土を伴う造成には許可が必要になりました。伐採・抜根の後の造成工程で関係する法律ですが、前工程として一体で計画しておく必要があります。

参考:盛土規制法について(国土交通省)


費用の相場と内訳

土地造成前の伐採・抜根の費用は、対象面積・樹木の規模・立地条件・搬出路の有無などによって大きく変動します。あくまで目安ですが、以下に主な費用項目を整理します。

伐採費

樹木の高さや本数で算定されるケースが一般的です。

  • 3m未満: 1本あたり3,000円〜9,000円
  • 3〜5m: 1本あたり8,000円〜20,000円
  • 5m以上の高木: 1本あたり15,000円〜40,000円程度

広い面積の山林を一括で処理する場合は、面積単価(㎡あたり500円〜1,500円程度)で算定されることもあります。

抜根費

幹の太さ(根周り)によって変動します。

  • 幹周り30cm未満: 1本あたり3万円前後
  • 幹周り30〜50cm: 1本あたり5〜6万円
  • 幹周り50〜80cm: 1本あたり8〜10万円
  • 幹周り80cm以上: 1本あたり12万円以上

重機費

バックホウや高所作業車を使う場合、日額で3万円〜8万円程度が相場です。搬入経路の整備が必要な場合は別途費用がかかります。

運搬費・処分費

伐採した幹や枝、抜根した根株をトラックで搬出し、中間処理施設などで処分する費用です。この項目が全体コストの2〜4割を占めることも珍しくありません

整地費

抜根後の穴埋めや地ならしの費用です。1㎡あたり数百円〜1,000円程度が目安です。

費用が膨らむ要因

以下の条件が重なると費用が跳ね上がる傾向があります。

  • 搬出路が狭く大型車両が入れない
  • 急斜面で重機作業が難しい
  • 住宅や電線が近く、慎重な作業が必要
  • 樹木の本数が多く、高木が含まれる
  • アスベスト含有物や廃棄物が地中に混入している

見落とされがちな「伐採後の廃棄物処理」

ここが実務上、最も見落とされやすく、かつトラブルの原因になりやすいポイントです。

伐採・抜根で発生する木材は産業廃棄物

工事業者が請け負った土地造成の一環として伐採・抜根を行った場合、そこで発生した幹・枝・根は「建設発生木材」として産業廃棄物に該当します。

具体的には、廃棄物処理法上の「木くず」に分類され、排出事業者である元請業者が責任を持って処理しなければなりません。一般廃棄物として処分したり、現地に放置したりすることは法令違反になります。

参考:建設廃棄物処理指針(平成22年度版)(環境省)

マニフェストの交付と処理委託契約が必要

産業廃棄物として処理するためには、以下の対応が必要です。

  • 収集運搬業者・処分業者との書面による処理委託契約
  • 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付

建設リサイクル法との関係

造成工事そのものは建設リサイクル法の直接の対象ではありませんが、伐採で発生した木材は「建設発生木材」として再資源化の対象になります。一定規模以上の工事では、チップ化してバイオマス燃料やパーティクルボードの原料に回すなど、適切なリサイクルが求められます。

参考:建設リサイクル法の概要(環境省)

抜根後に出る残土の処理も忘れずに

根を掘り起こす際、必ず一定量の土砂が一緒に発生します。この土は基本的に「建設発生土」扱いで廃棄物ではありませんが、木くずや根の破片が混入しているとそのまま流用できなくなります。

現場での分別を徹底しないと、残土処分のコストも跳ね上がるため注意が必要です。残土処理の詳細については、弊社の別記事「建設残土の処分方法とは?種類・費用・法的ルールを現場目線で解説」でも解説しています。


業者選びのポイント

土地造成前の伐採・抜根を外注する場合、以下の観点で業者を評価することをおすすめします。

1. 伐採・抜根だけでなく「その後」まで見てくれるか

伐採専門業者の中には、切り倒すところまでが業務範囲で、発生した木材や根の処理は別契約・別業者という会社も少なくありません。この場合、発注者側で複数の業者を調整する必要があり、手間も費用もかさみます。

伐採・抜根・廃棄物処理を一貫して請けられる業者を選ぶと、工期・コスト・コンプライアンスの三拍子で有利になります。

2. 必要な許認可を持っているか

造成工事の一環として伐採・抜根を行う場合、工事全体が一定規模(請負金額500万円以上)になると建設業許可が必要になります。該当する業種区分は工事の内容や目的によって「とび・土工工事業」や「土木一式工事業」などが考えられますが、国交省の公式な例示では伐採・抜根は明示されておらず、実務上は工事内容に応じた判断になります。

また、発生した木材を運搬・処分する場合は、産業廃棄物収集運搬業許可処分業許可を持っている業者でなければ処理できません。許認可を確認せずに発注すると、結果的に不適正処理となり、排出事業者側にも責任が及ぶリスクがあります。

3. 森林法などの法的手続きに精通しているか

伐採届や林地開発許可などの手続きは、慣れていないと準備に時間がかかります。届出書の作成補助や、必要書類の取りまとめまでサポートできる業者であれば、発注者側の負担を大きく減らせます。

4. 現場条件に応じた柔軟な対応ができるか

急斜面、狭隘地、住宅近接地など、条件の悪い現場ほど業者の力量差が出ます。見積段階で現地調査をしっかり行い、リスクを明示してくれる業者は信頼できます。


まとめ

土地造成前の伐採・抜根は、単に木を切り倒す作業ではなく、法令遵守・廃棄物処理・跡地対応までを含めた一連のプロジェクトです。要点を整理すると以下のとおりです。

  • 造成工事では伐採だけでなく抜根まで必要
  • 地域森林計画対象森林では伐採届(90日〜30日前)が必須
  • 保安林や1ヘクタール超の開発は別途許可が必要
  • 費用は面積・樹木規模・立地条件で大きく変動
  • 伐採後の枝条・根株は産業廃棄物として適切な処理が必要
  • 残土の混入物にも注意
  • 業者選びは「伐採後の処理まで一貫対応」が最大のポイント

工期を圧迫したり、コンプライアンスリスクを抱えたりしないためには、事前の計画段階から「出口(廃棄物処理・跡地対応)」まで見据えて業者を選ぶことが重要です。


株式会社OTCでは、山林伐採事業の実務対応から、伐採後の枝条・根株の処理、残土の取り扱いまでを一貫してサポートしています。再資源化分野のノウハウを活かし、伐採から廃棄物処理・再資源化までをワンストップで対応できるのが強みです。

「土地造成前の伐採を依頼したい」「伐採後の廃棄物処理までまとめて任せたい」といったご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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